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2024/12/05 EDIT CATEGORY: TRACKBACK URL 

黒サーフの思い出










これはくだらない個人の思い出話なので

読んでもつまらないですぜ









あれは

俺が18くらいの頃か・・・

夜の8時くらいに彼女を自宅まで送り届けた後で

なんとなく8号線に合流した

そして

なんとな~く

前を走ってる車を見たら

ワインレッドのプラドだった

11.jpg





















この画像のとは別色の

ワインレッドのプラドだった

黒サーフを購入する前に

県内の中古車屋さんを散々探し回ったけど

ショートのやつしかなかったり

ロングのやつがあっても画像のボディー色と同じような

紺色のやつしかなかったから

泣く泣く諦めた

俺が大好きな・憧れの車だったんだ

ワインレッドのプラド






そこで俺は

なんでか知らんが

そのワインレッドのプラドを追いかけようと思った

8号線に乗ってる限りは

ずっと後をついて行こうと思った










そしたら

あれよあれよと休憩なしで

丸岡を通り過ぎ

加賀を通り過ぎ

金沢市外まで入ったところで

ワインレッドのプラドはコンビニの駐車場に入っていった

運転手がコンビニ店内に入ってくのを見届けてから

俺も少し離れた駐車スペースに黒サーフを停めて

コンビニ店内に入った

プラドの運転手は

眼鏡をかけて頭が禿げかかった中年男性だった

今じゃ俺も禿げかかってるけど

とにかく

眼鏡で禿げた気の良さそうなオッサンだった





ふふふ・・・

俺が地元からずっとついてきてるなんて

オッサンは知るまい

くっくっくっ・・・

などと思ったけど

ハッと我に返り

俺は一体、何が楽しくてこんな事してんだろう?

こんなストーカーみたいな事して・・・

いやいや

ここまできて

旅を諦めるのはなんだな・・・

行こう・・・

行けるとこまで行こうぜオッサン!

という考えに至った

なので俺は

そこのコンビニで

ブラック・ブラックガムと缶コーヒーを購入した

きっと長期戦になると踏んで





オッサンが隣のレジで会計を済ます前に

ササッと自分の会計を済ませ

黒サーフに乗り込んだ

オッサンのプラドが駐車場から出て行く

追従するぜ!















富山まできちゃった・・・

もうアレだ・・・

オッサンと俺は他人じゃない気がするぜ

ここまで来る道程には色んな事があったよね・・・

俺が2回連続で信号に引っ掛かったり

オッサンのプラドを知らぬ間に抜いてたり

たまにオッサンがフラフラした運転するから

トラックに幅寄せくらってたよね、オッサン

何もかもが良い思い出だよ






などと考えていたら

またオッサンのプラドがコンビニの駐車場に吸い込まれていく

俺も急いでウインカーを出して

コンビニの駐車場に侵入し黒サーフを停めた






オッサンは新聞を丸めたのを手に持って

コンビニのトイレに入っていった

ウンコか・・・

これは長くなりそうだな・・・と思い

俺は

黒サーフの運転席とコンソールボックスの隙間に落ちている

ガムの包み紙とか小銭とかを漁り出した

あっ 100円みっけ!

50円みっけ!

なんだ・・・ 10円か・・・

などと小銭漁りに精を出していたら

なんとなく嫌な予感がした









あああああああああああああああああああああああああああああああ

オッサンとオッサンのプラドが

コンビニの駐車場から消失してるうううううううううううううううううううううううううううう

えええええええええええええええええええええええええええええ

嘘だあああああああああああああああああああああ





俺は黒サーフのドアを開けたまんま

コンビニの駐車場を駆け抜け

路側帯のとこで立ち尽くした





おっさあぁぁぁぁぁぁあん

どこ行っちゃったんだよおおおおおおおおおお

ここまできて俺を置いてくなんてひどいよおおおおおおおおおおお

いやだあああああああああああああ

おっさあああああああああああん



心の中で叫び続けた

路側帯に立ち尽くして






この喪失感・・・

今までの楽しかったオッサンとの思い出が

ガラガラと音を立てて崩れていく

俺はコンビニの重い扉を押して

温かい肉まんと温かいお茶を買った

黒サーフのシートの下で見つけた小銭で






泣きながら肉まんを頬張る

悲しみという名の肉まんを全て平らげた後で

温かいお茶を喉に流し込み

口の中をウガイしてから黒サーフのシートに身を埋めた






もう

なにもかもがどうでもいい・・・

こんな遠い地で

オッサンというナビゲーションを失った俺に

これ以上なにが出来るって言うんだ

眠ろう・・・

うぅ・・・

オッサン・・・

グスッ・・・

グス・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・zzz

・・・・・・・・・・・・・・ZZZ








ピロレロ♪ ピロレロ♪


携帯の着信音で目を覚ます


鬼 「 もしもし? 」


俺 「 はい、もしもし? 」


鬼 「 なにしてるの? 部屋? 」


俺 「 ううん、外 」


鬼 「 外? どこ? 」


俺 「 富山 」


鬼 「 富山! なんで! 」


俺 「 なんとなく 」


鬼 「 わたし今日休みだって言ってたよね! なんで!? 」


俺 「 うぃ・・・ 」 ( うるせえなぁ・・・ずん胴のくせに・・・ )


鬼 「 なんでそんな変なことするの!? 」


俺 「 うぇい・・・ 」 ( おなかぶよぶよのくせに・・・ )


鬼 「 こっち帰ってくるのに何時間!? 」


俺 「 5時間くらい・・・? はやいと4時間くらい? 」


鬼 「 んんんんんんんん! 馬鹿っ!!! 」


俺 「 ひぇぇい、お土産とかいる? 富山の 」


鬼 「 いらないっ!!! 」


ブチッ!


ツー

 ツー

  ツー


俺 「 ・・・・・・・。 」










何故こんな事を思い出したかと言うと

昨日の夜に

黒サーフに乗ってた頃の夢を見たから

きっと黒サーフが思い出してくれって言ってるんだと思ったから

おまえは俺の最高の車だったよ

最後のほうなんて

助手席のドア

蹴らなきゃ閉まんなかったな

あちこち自爆してボロボロだったな

最終的にはMに譲り渡したほんの数ヵ月後に

完全に廃車にされちゃったけど

もし

あの頃にデジカメなんてモノがあったなら

今以上に素晴らしい思い出を

沢山残せたのにな

写真に残ってないから必要以上に美化しちゃうのかもだが

まじでいい車だった

黒サーフ。








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