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2024/12/05 EDIT CATEGORY: TRACKBACK URL 

我が名はハム! 野良犬の王なり! ②









めでたく ハムさん となった俺だったが

その後も ハム屋 で真面目にバイトを通した。






ハム屋 には

同年代の人間は居なかったから

昼メシの時間とか

独りでコンビニまで車はしらせて

パンとか弁当とか買って

コソコソと一人ぼっちで食べていたが

昔から孤独には強い人間だったようで

別に寂しいとか思わずに

普通に快適なバイト生活を送ったと思う。







そしてから

その昼メシの時間とかは ハム屋 の休憩所みたいなところで食うのが多かったから

そうやって一人でモソモソと食ってる俺に

よくパートのオバチャンが話しかけてきたりしたが

いつも話の最後に高確率で

こう言ってきた。


『 こんなとこ若い子が居る場所じゃないよ 』

『 夏前に辞めちゃったほうがいいわよ こんなとこ 』


などと言われた。

確かに当時の俺は若くて馬鹿だったけど

馬鹿は馬鹿なりに言葉の意味を深読みした。

なんでそんなこと言うんだろう?

もしかしたら.............

俺が役立たずだから早く辞めろっつうのを言いたいのか?

しかしながら

パートのオバチャンと俺の仕事内容は全然別の種類だから

オバチャンに迷惑かけているという事はない筈なんだが.............

しかも


《 夏の前に 》


という言葉が気になる。

ということなんだが

これが何を意味していたのかは

夏になってから分かった。








そしてから

同年代が居ないから人間関係がツマラナイという事もなくて

倉庫業に慣れてきてから

必殺仕事人の中村モンドさんに似たジイサマと新しく仕事を組まされた。

そのジイサマの小型冷凍トラックの助手席に便乗させてもらって

県内各地の卸問屋みたいなとこにハムを運ぶ仕事が増えたのだ。

ジイサマは冗談を言って人を笑かすようなタイプではなかったけど

俺みたいな馬鹿な若者の話もちゃんと聞いてくれるし

笑い上戸なのか

そんなに面白い話をしている訳じゃないのに

頻繁にガハハ!と、笑ってくれるもんだから

俺は けっこうそのジイサマに懐いた。







ジイサマとパートのオバチャンの他にも

バイトの俺が毎日顔を合わせる人が居て

その人の立場は確か主任さんだか何だかだった気がする。

主任さんは板尾イツジさんが極限にまで痩せたミイラのような人だった。

痩せている俺から見ても

主任さん痩せ過ぎだろ............

という感じだったから

パートのオバチャンにもよく言われていた


『 まあた痩せたんじゃない? 』

『 ストレスのせいよね 』

『 まったく、ここの署長は、ほんっとにもう嫌な人ねー 』


みたいな事をよく言っていた。

主任さんは苦笑いで誤魔化しながら

パートのオバチャンの文句を聞き流していた。

俺は思った。

ここの署長さんとは面接の時に1回会っただけで

その後は1度も会ってないな。

そんなに厳しい人なんだろうか?









そんなこんなで

やがて季節は夏になった。

そんな夏のある日に

いつものように ハム屋 の駐車場に自分の車を停め

さて

今日も さっさと商品の前だししちゃおうかな!



冷蔵庫へとトコトコ歩いたら

俺はそこで立ち尽くす事となった。

冷蔵庫や冷凍庫に収まりきらないハム商品が

うず高く山のように聳え立っていた。

冷蔵庫の扉の前にまで山になっていて

人が中に入れないほどの量だったのだ。

俺は心の中で叫んだ。


なんだこれーーーーー!


と。

そうやって冷蔵庫の中にも入れずに

オロオロしていたら

青白い顔をした主任さんがフラフラと歩いてきて

こう言った。


『 とりあえず.......... 』

『 とりあえず なんとか冷蔵庫の中のモノを全部奥に詰めて 』

『 空いたスペースにコレらを詰めようか........... 』


そう言われても

俺は固まったままだったから

返事を返す事も出来ずに

ダンボールの山を見ていたら


『 大丈夫........... 』

『 こんなの一人では無理だから 』

『 俺も手伝うから大丈夫 』

『 ただ......... 』


ただ?

ただ、なんですか?

と、やっと我に返った俺が

主任さんの言葉の続きを聞き取ると


『 ただ 』

『 見ての通り、俺は昨日から営業所で徹夜だ 』

『 3時間くらいで動けなくなると思っていてくれ 』

『 その後は...........  もう、なんとかなるのを祈るしかないな.......... 』


それを聞いて俺は

うひょー! 大丈夫なのかなこれー! と、思った。

だって季節は夏ですから

しかも相手は燻製にしてあるとはいえ生ものですから

こうしている間にも事態は悪化していく。

そしてもっと冷静なってよく考えた。

なんでこんな事になっている?

もう6ヶ月ほども ここでバイトしているけど

こんな事は始めてでヤンス。

考えろ..........

少ない脳味噌で よく考えるんだ俺............

今は夏だ。

夏と言って連想するのは

カキ氷とかスイカとか

うーん..........

そういえば

もうすぐ お盆 だ。

おぼん!?

おぼんといったら!

おちゅうげんの時期じゃないですかぁぁぁぁあああ!

だからこんなにハムが!

だからハムがこんなことになっているのかぁぁああああああ!

くっそぉぉおおおおお

ハムのくせに俺を困らせやがってぇええええええ!

主任さんなんかハムで死にそうになってるじゃんかぁあああああああ!

なんということだうひょぉぉぉぉぉおおおおおお!

ということで

また、次に続ける。









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2013/08/13 EDIT CATEGORY:懐古 TRACKBACK URL 

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