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2024/04/25 EDIT CATEGORY: TRACKBACK URL 

猫の怖い話 ~夏~ 








7月6日






それは突然の事であった。

鼻先が茶色の猫に家のデッキを乗っ取られたのである。



そして

ワタシが遅い夜飯を食った後

家に戻ると

鼻先が茶色の猫は

忽然と

その姿を消したのであった。

カリカリを ひと粒 だけ残して...............。











その後

ワタシは釈然としない気持ちで夜を過ごした。

あの猫は何処に行ってしまったんだろう。

デッキに出て煙草を吸ってみたが

心の中のモヤモヤとしたものが消えず

ワタシは夜の海沿いをフラフラと歩き出したのであった。



あの猫は

ここの通りから飛び出してきたのだ。



この街灯の下で

鍵束を

チャリ...........  チャリ...........

と、鳴らしてみるが

あの猫の気配は何処にも感じられなかった。








ワタシは一抹の寂しさを感じたまま

家へと帰り着いた。

あの猫はきっと元の世界に帰ったのだ。

それでいい。

あんな事は1度だけでいいのだ。

もう2度とワタシの家であの猫の姿を見る事はあるまい。

それでいいのだ...............。









そして

ワタシは心の中のモヤモヤを押さえ込む為に

久しぶりにギターを弾こうと思った。

ワタシは弦を張り替えたのだ。



これがまた

途方も無く面倒臭い作業で

ワタシの気は滅入ってしまった。

思い出してみると

いつもギターの弦の張り替えなどは

M吉に頼んで張り替えて貰っていたのだ。


『 たのむよぉ~ 』

『 ジュースと煙草、奢るからさぁ~ 』


そんなんで

自分でギターの弦を張り替えるなんて事は

今までにほんの4~5回しか経験していなかったのだ。

そんなこんなで

ワタシは1弦から3弦まで

おっかなびっくり 張り替えたのだが

まさかの4弦の張り替えで

バチィィーーーン!



新しい弦が千切れてしまったのだ。

そんな! そんな馬鹿な!

そこそこの太さを誇る4弦さんの所で千切れるなんて!

ワタシは顔を真っ青にしてブルブルガクガクと震えた。

仕方なく

4弦は古い弦を張り直す結果となったのだ。

そして..................

この夜、さらに怖ろしい事がワタシの身に起こったのだ。










痛いのだ.............

指先が..............

痛いのだ................



長らくギターなど弾いてこなかったワタシの指は

既に皮がフニャフニャになっていたのだ。

そんなフニャフニャの指の腹に

弦が めり込んで痛いのだ...............。

なんということだ...............。

その後もワタシは30分ほどギターを触っていたが

指の腹の痛みが怖くなり

ギターを弾くのを止めた。










ワタシは1階に下りて

暗い室内の椅子に座り

今日1日で起こった出来事を頭の中で反芻した。

3匹の子猫。

鼻先が茶色の猫の突撃晩御飯。

そしてギターの4弦が切れた。

4弦............。

4と言う数字は

死とも読まれる事から

この日本においては古くから忌み嫌われた数字だ。

ワタシはブルブルガクガクと震えた。

オシッコもジョー!と漏らした。

こんな不気味な家に居るのが苦痛になってきた。

指が痛いのだ。

左手の指の腹が痛いのだ。

ワタシは半ば狂乱状態になり

冷蔵庫の横からカリカリの小袋をひとつ掴んで

車に飛び乗り家を出たのであった。










呪われてる............

この夜は何もかも呪われているのだ..............

ハンドルを握っていても

なぜか指の腹がジンジンと熱く感じるのだ。

ワタシはガクガクブルブルと震えながら

ある港の駐車場に車を停めた。

そして

ワタシが車から降りると

なにか白い者がワタシの足元に擦り寄ってくるではないか。

そうなのだ

もうそんな時間帯に入ってしまったのだ。

日も入れ替わり12時16分。

怪しげな魑魅魍魎が跋扈する時間帯に入っているのだ。








オワカリダロウカ.............

後ろの自動販売機に正体不明の白いのが写っている................



白い者の目は黒目が拡大していた。

これは遥か昔に猫にかけられた呪いではないのかと

ワタシは思っている。



ワタシはハッ!と我に帰り

正面の駐車場に視線をやると



ワタシの車以外1台もなく

シーン...........

と、静まり返った広い空間があるだけであった。

そこを

ピーン..........

と、尻尾をあげた白い者と歩くのであった。



そう............

前日は激しい雨があったにも係わらず

蒸し暑い気温でありましたな。

あまりの蒸し暑さで漁師さんがビールを飲んだのかも知れないでヤンス。

こうやっていきなり語尾にヤンスとかつけると

急に誰かが入れ替わってブログ書いてるんじゃないかと思ってこわいでヤンスな。



そして

白い者は急に歩みを止め

地べたに這いずるのであった。



ワタシが背中を撫でると

このように目を閉じて何かを瞑想するのであった。

まるでチベットの高僧が瞑想しているような顔である。













そして

ワタシは満足顔で車に乗り込み

一路、家へと帰ったのである。










あれから家に戻り

何時頃まで布団の中でガクガクブルブルと震えていたであろうか.............

目が覚めた頃には

時計の針がとうに正午を過ぎていて

午後の2時頃になっていた。








ワタシは左手の指の腹を擦りながら

寝床から立ち上がり

下の階へと階段を下りた。

そして

まず、冷蔵庫を開けた。

目を擦りながら冷えた缶コーヒーを取り出し

それを

グビリ........  グビリ..........

と、飲みながら

これからスーパーマーケッツに行って買い物しようか

それとも

また、近くのナメリカンで済まそうか

などと考えていると












突然!












窓の外から動物が短く鳴くような声が聞こえたのだ!

その声は確かに、こう聴こえた。






     \ ニャッ! /





   \ ニャッ! /




           \ ニャッ! /





      \ ニャッ! /






と.................。

ワタシは心底怖ろしくなり

飲み掛けの缶コーヒーを室内のテーブルの上に置いたまま

恐る恐る窓の外を覗いたのである。

それは

7月7日、奇しくも七夕の日であり

午後3時12分の恐怖体験であった。












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2013/07/10 EDIT CATEGORY:猫 & ドッグ TRACKBACK URL 

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